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2021.10.20

自閉症スペクトラム(ASD)は音読が苦手

聴覚優位の人と視覚優位の人がいます。ASDには比較的視覚優位の方が多いといわれています。

視覚優位とは、目で見た情報の方が耳で聞いた情報より脳にインプットされやすいという状態です。ドラゴン桜の原健太君が視覚優位の典型ですね。なんでも目で見て映像のように記憶します。自分の合格発表の時も、いったんボードに並ぶ受験番号をカメラのシャッターを切るように記憶してから、映像記憶を手繰って自分の受験番号を発見するという離れ業をやってのけました。私はそこまでではないですが、間違い探しがものすごく得意で、本校の生徒さんの宿題チェックの時、一瞬でおかしいところを見つけるという得意技を持っています。

さて、何気ない音読という行為も、脳でいろんな情報を処理しています。

  • 文字の形から、文字を判別する。
  • 目で見た文字の視覚情報を、脳が音に変換する。
  • 声に出して発音する。
  • 適度な文節に区切る。
  • 1行読んだら、次の行へ移る。
  • 笑われないようにスムーズに読もうと頑張る。
  • 文章の意味を理解する。

視覚優位のASDの人はマルチタスクができませんから、これだけの情報を同時には処理できません。一般(定型発達とも言います)の生徒さんには本校では音読をルーティン化していますが、実は、私自身は音読では意味が取れないのです。音読してもストーリーが頭に入ってこないのです。人の話を覚えていないこともよくあります。耳から入った情報はいったいどこへ行ったんだ?対照的に黙読して目から入った情報は体調が悪くない限り、背景や登場人物、色、各種小物などの映像として頭に浮かびます。妄想に近いかもしれませんね。

視覚優位の性質を持つお子さまは無理に音読する必要はありません。音読しながら理解することはほぼ不可能です。音読にそれほど学習効果はないですから(語学は違いますよ。音読は必須です)強制しないでください。それよりも、目から入る情報を増やして理解を深める方がよほど効果的です。なんでも文字や記号や図にして示してあげると視覚優位のASDさんの学習の助けになります。